先日、ベトナムはホーチミンのWeb制作会社GKV様を訪ねてきました。
GKV様には「オフショア開発」の委託先として会社設立前のフリーランス時代からサポートしてもらっています。
一般的にオフショア開発のメリットと言えば、コスト削減ですよね。ボクのオフショア開発を利用する理由はちょっと違うところにもあります。それについては、あとの方でお話します。
オフショア開発とは、技術的に代替可能な開発作業を人件費の安い海外(オフショア)へ委託することを言います。
2016年のものですが、こちらの「アジア・オセアニア各国の賃金比較」を見てみましょう。日本と比較しながら東南アジアの人件費を勢揃いで知ることができます。
最近、経済的な成長が目立つベトナムやフィリピンでも日本と比べるとまだまだ低いですね。
極端なところにあてはめてみます。日本で100かかる人件費がバングラデシュでは8.9です。
もし同じスキルを持つ人材がバングラデシュで見つかれば、開発コストを10分の1以下に縮小することが可能です。会社的には利益が拡大するので、非常にオイシイお話です。
本当はそんなにはウマくいかない…
開発にかかるコストは金額に現れるものが全てじゃないですからね。言葉の壁の向こうへ正確に意図を伝えることの難しさ!
開発を滞りなく進行し期待通りのクオリティで完成させるための、ディレクター職にかかる負担は国内でさばく案件よりも当然大きなものになります。
完璧に仕上げたつもりの仕様書が規格外に裏切られた形で完成することも珍しくありません。開発側に悪気があるわけではありません。ロスト・イン・トランスレーションなだけです。
個人的にデザインまわりの指示は特に難しく感じます。
日本人同士でも、例えば「可愛い」や「オシャレ」の感覚って違っているので、デザインのオーダーを出す前は必ず見本をたくさん用意して仕上がりのイメージの共有に努めます。
それでも、同じ文化で育ってきたことによって、なんとなく自然に共有できる「感じ」があります。「和風」とか、参考サイトのURLを2つ3つ教えれば、けっこう伝わったりもします。
なんとなくの和風なイメージ。ウェブデザインまとめ。
海外へ行って、「和風」や「日本っぽい」で連想するイメージは? なんて聞くと、本当にてんでバラバラです。
「きゃりーぱみゅぱみゅ」だったり、「ダイソー」だったり、「盆栽」や「忍者」だったり。そうそう、これはホーチミンで見つけたショップです。日本ブランドのコンプ感がすごいんです。
ベトナムにもあった。ダイソーならぬミニソーの読み方はメイソウ。ロゴはユニクロ風で品揃えは無印っぽいという日本ブランドコンプリート感がすごいショップ。 pic.twitter.com/Am2j3n8NKu
— ウェブさえ (@websae2012) 2017年5月18日
「和風で」って注文の結果、こういう海外で人気のブランドを総取りしたようなデザインに仕上がることだってありえるわけです。面白いっちゃ面白いんですけど。
そういうわけで、デザインの仕上がりをなんとなくで伝わるかなあと期待するとまず裏切られます。
準備しすぎるくらいに指示書を作って、伝え方にもめちゃくちゃ気を使ったのに、結果が失敗なら、やっぱりもう国内で完結させた方が楽なんじゃないのかしら? ごもっともです。
仮に海外のコストが国内の半額だとしても、失敗の結果でやり直しが発生すれば、国内と同等のコストになります。それなら国内一回で済ませたほうが手間も減り、精神衛生上にも健やかです。
コスト削減を期待して導入したオフショアでの開発が、かえって人件費以外の負担を増やし、結局は国内へ開発の場を戻すことになったというケースは全然珍しくありません。
でも、やっぱりホーチミンに来れてよかった
ボクのオフショア開発を利用する理由はコスト削減だけじゃなく、外国につながりを作っておきたかったということにもあります。
できるフリーランスがぱぱっと集まって、サクッと作ってホイ解散、というやり方のほうが、効率的ですし刺激的です。今風ですね。利益も最大化しやすそうです。
でも一方で、コミュニケーションや技術的に不足するところをお互いに埋め合う努力をしながら長いお付き合いにしていくというのも、ロマンチックでありです。
遠距離恋愛のようです。そこへ会いに行くという理由が生まれますから。
オフショア開発というきっかけがなければ、今回のホーチミン滞在はありませんでした。
ベトナムと言えばダナン派です。ホーチミンよりはハノイ派です。今回が10年ぶりのホーチミン、正直、行きたいところのリストには入ってませんでした。今回がなければさらに10年は来ていなかったと思います。
ところが、来てみてビックリ、この機会に感謝です。10年前とまるで様変わりした街に興奮しました。
前回は母を連れての旅行でした。まだWebの仕事をする前です。お金もあまりなくて、精神的にも不安定な時代でした。
この10年でホーチミンも随分変わったけど、自分もたいがい変わりました。独立して一人前に生活できてるなんて奇跡だなあ、運が良かったなあ、なんてしみじみ思いながら撮った街の様子は、帰国後に母へも見せてあげようと思います。
さて、自分語りはこの辺でお終いにしておきます。今回の訪ホーチミンのきっかけをいただいたGKV様の紹介へ移りましょう。
GKV様のここが良い!
- 小回りが効く
- 日本語対応OK
- デザインもできる
規模の小さな案件にも小回りを効かせて対応してくれます。制作会社だけでなく、複数の案件を回すフリーのディレクターさんやウェブデザイナーさんにもおすすめできる外注先ですよ。
日本語でのコミュニケーションも可能なので、英語や現地の言語によるやり取りが必要な委託先と比較してストレス激減です。
デザイナーさんは、日本向けのデザインを一から学んでいらっしゃるので、日本人好みなデザインが得意です。
そんなGKV様は、ホーチミンの市内から車で40分くらいのところにIT特区にあります。
GkVは岐阜工業ベトナムの英略です。日本の岐阜工業ベトナム株式会社様が100%出資しています。
到着後、会議室で会社紹介のスライドを見せてもらいました。
壁には、日本とベトナムの橋がけを表す写真と掛け軸がありました。岐阜工業ベトナム株式会社様は、会社で使える人材を一からベトナムで育てることに力を注いでいます。
日本語やIT技術の習得のための教育制度にめちゃくちゃ気合が入ってます。単に低コストだけを狙ってベトナムへ進出したわけではなく、こうして具体的にベトナムの発展に貢献しているところが素敵です。
そして、このウェハースとの出会い! 会議室でごちそうされたのですが、すごくおいしかったです。
その美味しさったら、Twitterで思わずつぶやくくらい。
こんなの知ってるウェハースと違う、まるで濃厚チーズケーキ! なチーズ味のウェハース。しっとりうますぎていままでの人生で食べた総ウエハースの数を一瞬で更新。箱買いして毎日食べてる。本当においしい。 pic.twitter.com/N5TGLYwCda
— ウェブさえ (@websae2012) 2017年5月25日
GKV様のメインはCAD業務です。社員が総勢300名います。
こちらがWebの制作部署です。依頼のとき、納品のとき、「こうしてほしい、ああしてほしい」を双方で確かめあいました。ますます効率的に質の向上を目指していけることを期待してます。
日本語研修の風景です。完全に日本を顧客の照準に合わせているため、日本語の教育も徹底してます。
1年間の日本研修制度もあり、初めて日本を訪れた印象は皆さんとにかく「びっくり」したそうです。逆にベトナムへ来た初めてのときのボクもいろいろとびっくりしてましたけどね(笑)。
会社訪問のあとは海鮮料理のオイシイお店へ連れて行ってもらいました。このココナッツにぶら下がるエビ料理は有名ですよね。他にもおいしいものをたらふくごちそうしていただきました。
会社訪問のレポートは以上です。GKV様、ありがとうございました。また次の機会を楽しみに待ってます。
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